2010年3月 Vol.30 副腎から起こる高血圧の話
「降圧剤をのむだけではだめ、きちんと検査をしましょう」

腎臓の上にある副腎という臓器は様々なホルモンを出しています。ホルモンにはアルドステロン、コルチゾール、カテコラミン(アドレナリンなど)といったものがあり、体のミネラルや血圧、血糖などを調整しています。腫瘍ができてホルモンがたくさん出ると、高血圧や糖尿病、肥満などの原因になり、薬ではコントロールしにくい状態になります。突然血圧があがり、脳卒中や心筋梗塞を引き起こすこともあります。検査は血液検査でホルモンやミネラルなどをチェック。超音波検査やCT検査で腫瘍があるかを判断します。腫瘍といっても癌ではないことが多く、手術で摘出すれば心配なし。血圧が高いといって、ただ薬を飲むだけでなく、きちんと検査も必要です。
2009年12月 Vol.2・ 前立腺肥大症の新薬の話
「アボルブは排尿障害を改善します」
男性ホルモン(テストステロン)は5α還元酵素というものによってより活性の高いジヒドロテストステロン(DHT)に変換され、このDHTが前立腺を肥大させます。前立腺肥大症の新しい薬(アボルブ®)はこの酵素の働きを抑えてDHTを減少させることで、肥大した前立腺を縮小させます。約6か月の使用で前立腺の体積は30%ほど減少し、尿の勢いや回数などが改善します。目立った副作用はありませんが、前立腺癌を早期発見する前立腺特異抗原(PSA)が半減するので、使用時は必ず泌尿器科専門医の診察を受けて下さい。前立腺癌を見落とすことになります。この薬は男性型脱毛症で効果のあるプロペシア®の効果も併せ持っているちょっと興味深い薬です。
2009年7月 Vol.26 氷食症の話
「氷をむやみに食べる時氷食症かもしれません」

冷たいものが美味しい季節ですが、氷をばりばり食べている人はいませんか?氷をむやみに食べる時は、氷食症の疑いがあります。氷食症は氷を1皿以上食べると定義されている異食症(土や紙など栄養にならないものを食べてしまう病気)のひとつ。氷自体はあまり害にはなりませんが、鉄欠乏状態や鉄欠乏による高度の貧血が背景にあるので注意。鉄欠乏になると記憶力、持久力や食欲の低下、寝つき・寝起きが悪くなり、 貧血になると動悸、息切れ、顔色不良となってきます。鉄欠乏症の思春期の子どもの2割が氷食症ともいわれています。鉄剤を内服すると治りますが、鉄の体内ストックができるまで十分内服することが大切です。
2006年6月 在宅の話
「畳の上で最期を迎えたい−がんが進んでしまった時−」
平成16年度のデータでは、8割の人が病院で、1割強の人が自宅で亡くなっています。病院と自宅で何が違うのでしょう。家では手術も放射線治療もできません。でもがんが進んでしまった人達には、痛みをとったり、つらい気持ちを和らげてくれる方が大切。病院では痛みをしょっちゅう訴えていたのに、家に帰った途端に痛み止めの量が減ったことがありました。一口も食べなかったのに家ではカレーを平らげた人も。
残念ながら病気を治せなくなった時、その人全体をよい状態にすることが一番の治療なのです。「家族」はそばにいるだけで癒しに、「住み慣れた家」は最もよい薬になります。このような患者さん、ご家族を支えるのが、我々在宅医の役目です。
2006年5月 禁煙の話
「タバコをやめるうま〜い話−臭いお父さんはきっぱり卒業」
タバコの害は言うまでもありませんね。1日20本吸うと1年でコップ1杯のタールを体内に取り込むことに。さらに困るのは周囲を巻き込むこと。タバコの煙と喫煙者が吐き出す煙を吸う受動喫煙者は本人より有害物質の量は多くなります。ベランダや換気扇の下で吸っていても、その家のお子さんから一酸化炭素が確認されています。4月から「ニコチン依存症管理料」として一部の保険診療が可能になり、禁煙のやり方もニコチンの貼り薬でラクに確実にできるようになりました(パッチは自費診療)。毎日20本吸う人なら1年間の禁煙で約10万円の節約。体調もよくなり、浮いたお金を家族サービスにまわせばお父さん株も急上昇です。
*補足:2006年6月から、パッチも保険診療で処方できるようになりました。


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