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みんなのキッチン(旧・地域ダス)

  • 都筑区に配布されているミニコミペーパーで「みんなのキッチン」というものがあります。開院時は「地域ダス」といっていました。地元のネットワークを作っていきたいという思いで作られていたミニコミ誌でした。コミュニティスペースを持つようになり、みんなのキッチンと改名して活動をしています。開院以来、コラムを掲載しております。
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2012年1月 Vol.40 超音波で動脈硬化を簡単にチェックできます。血管年齢を調べてみませんか。

「人も血管も、若々しさの秘訣は柔軟さですね。」


「ヒトは血管とともに老いる」といわれます。体中に血液を送る動脈が硬くなると、血管が狭くなったり(狭窄)詰まったり(閉塞)、逆に膨らんだり(動脈瘤)します。そうなると脳梗塞、心筋梗塞が起き、脳出血、動脈瘤破裂など大きな病気の原因になります。首にある頸動脈の内側の血管は、脳へ血液を送る動脈で、全身の動脈の中でも硬くなりやすい場所。ここを超音波検査でみると動脈硬化の進行具合を判断できます。動脈の壁の厚みやコレステロールなどが溜まっている「プラーク」の有無をチェック。変化があれば、薬を飲んだり、手術をして血栓が飛ぶのを予防します。もちろん食事療法、運動療法、禁煙も大切。コレステロールの高い人、高血圧、糖尿病の人はぜひ受けてもらいたい検査です。


2011年5月 Vol.36 認知症の新しい薬が使えるようになりました

「認知症は早期診断と周囲の理解が大切です」


認知症患者は2年後には国内で約320万人に達すると推計され、そのほぼ半数 がアルツハイマー型。今まで日本で唯一の治療薬だったアリセプトは、神経伝達物質を分解する酵素を抑え、症状を改善したり進行を遅らせます。これに新薬が3種加わることになりました。アリセプトと同じ作用で貼り薬のタイプ。副作用を抑えて神経細胞の働きを活発にし、神経伝達をよくする作用も持つもの。アリセプトと違う作用で記憶に関わる神経障害を起こすのを抑え、神経細胞を保護する。いずれも根本的に治すものではありませんが、アリセプトが使えない人や効果が落ちてきた人も、症状を抑え進行を遅らせることが期待できる薬です。

2010年3月 Vol.30 副腎から起こる高血圧の話

「降圧剤をのむだけではだめ、きちんと検査をしましょう」


腎臓の上にある副腎という臓器は様々なホルモンを出しています。ホルモンにはアルドステロン、コルチゾール、カテコラミン(アドレナリンなど)といったものがあり、体のミネラルや血圧、血糖などを調整しています。腫瘍ができてホルモンがたくさん出ると、高血圧や糖尿病、肥満などの原因になり、薬ではコントロールしにくい状態になります。突然血圧があがり、脳卒中や心筋梗塞を引き起こすこともあります。検査は血液検査でホルモンやミネラルなどをチェック。超音波検査やCT検査で腫瘍があるかを判断します。腫瘍といっても癌ではないことが多く、手術で摘出すれば心配なし。血圧が高いといっ て、ただ薬を飲むだけでなく、きちんと検査も必要です。

2009年12月 Vol.2・ 前立腺肥大症の新薬の話

「アボルブは排尿障害を改善します」


男性ホルモン(テストステロン)は5α還元酵素というものによってより活性の高いジヒドロテストステロン(DHT)に変換され、このDHTが前立腺を肥大させます。前立腺肥大症の新しい薬(アボルブ®)はこの酵素の働きを抑えてDHTを減少させることで、肥大した前立腺を縮小させます。約6か月の使用で前立腺の体積は30%ほど減少し、尿の勢いや回数などが改善します。目立った副作用はありませんが、前立腺癌を早期発見する前立腺特異抗原(PSA)が半減するので、使用時は必ず泌尿器科専門医の診察を受けて下さい。前立腺癌を見落とすことになります。この薬は男性型脱毛症で効果のあるプロペシア®の効果も併せ持っているちょっと興味深い薬です。


2009年7月 Vol.26 氷食症の話

「氷をむやみに食べる時氷食症かもしれません」


冷たいものが美味しい季節ですが、氷をばりばり食べている人はいませんか?氷をむやみに食べる時は、氷食症の疑いがあります。氷食症は氷を1皿以上食べると定義されている異食症(土や紙など栄養にならないものを食べてしまう病気)のひとつ。氷自体はあまり害にはなりませんが、鉄欠乏状態や鉄欠乏による高度の貧血が背景にあるので注意。鉄欠乏になると記憶力、持久力や食欲の低下、寝つき・寝起きが悪くなり、 貧血になると動悸、息切れ、顔色不良となってきます。鉄欠乏症の思春期の子どもの2割が氷食症ともいわれています。鉄剤を内服すると治りますが、鉄の体内ストックができるまで十分内服することが大切です。

2006年6月 在宅の話

「畳の上で最期を迎えたい−がんが進んでしまった時−」

平成16年度のデータでは、8割の人が病院で、1割強の人が自宅で亡くなっています。病院と自宅で何が違うのでしょう。家では手術も放射線治療もできません。でもがんが進んでしまった人達には、痛みをとったり、つらい気持ちを和らげてくれる方が大切。病院では痛みをしょっちゅう訴えていたのに、家に帰った途端に痛み止めの量が減ったことがありました。一口も食べなかったのに家ではカレーを平らげた人も。
残念ながら病気を治せなくなった時、その人全体をよい状態にすることが一番の治療なのです。「家族」はそばにいるだけで癒しに、「住み慣れた家」は最もよい薬になります。このような患者さん、ご家族を支えるのが、我々在宅医の役目です。

2006年5月 禁煙の話

「タバコをやめるうま〜い話−臭いお父さんはきっぱり卒業」

タバコの害は言うまでもありませんね。1日20本吸うと1年でコップ1杯のタールを体内に取り込むことに。さらに困るのは周囲を巻き込むこと。タバコの煙と喫煙者が吐き出す煙を吸う受動喫煙者は本人より有害物質の量は多くなります。ベランダや換気扇の下で吸っていても、その家のお子さんから一酸化炭素が確認されています。4月から「ニコチン依存症管理料」として一部の保険診療が可能になり、禁煙のやり方もニコチンの貼り薬でラクに確実にできるようになりました(パッチは自費診療)。毎日20本吸う人なら1年間の禁煙で約10万円の節約。体調もよくなり、浮いたお金を家族サービスにまわせばお父さん株も急上昇です。
*補足:2006年6月から、パッチも保険診療で処方できるようになりました。